IBM iのテクノロジー・リフレッシュとメジャー・バージョンアップ

IBMは4月13日(現地時間)に、IBM i 7.4 テクノロジー・リフレッシュ(TR)4とIBM i 7.3 TR10を発表しました。今回と次回の2回に分けて、「テクノロジー・リフレッシュ」とIBM i 7.4 TR4/IBM i 7.3 TR10についてご紹介します。

「テクノロジー・リフレッシュ」とは、IBMが2010年4月発表のIBM i 7.1から採用しているOS機能の新しい提供方法です。7.1以前のIBM i 6.1までは約2年ごとにメジャー・バージョンがリリースされてきましたが、ユーザーから「あまりにも間隔が短すぎて、業務のサイクルに合わない」という声が多くなり、IBM iが改めて採用した施策です。

テクノロジー・リフレッシュはIBM i 7.1以降、毎年春と秋の年2回、リリースされています。そして3年ごとにメジャー・バージョンがリリースされるシステムになっています。今回のIBM i 7.4 TR4はIBM i 7.4として4回目、IBM i 7.3 TR10はIBM i 7.3として10回目のテクノロジー・リフレッシュということになります。

IBM i OSのメジャー・バージョンアップが3年おきになったことについてIBM iチーフアーキテクトのスティーブ・ウィル氏は、「4年間隔だと長すぎるので、従来の2年と4年の間をとって3年ごとに落ち着きました」と語っています。

IBM i 7.4は2019年にリリースされていますので、次のメジャー・バージョンアップは2022年4月になると予想されています。ちょうど今年から来年にかけて新しいPOWERプロセッサであるPOWER10搭載のPower Systemsが登場すると見られますので、新しいハードウェアとOSは並行して進化していることになります。

IBM iのロードマップには、現行バージョンの次を示す「IBM i Next」と、その次の「IBM i Next+1」が明記されています。「IBM iを今後も継続する」というIBMの揺るぎないメッセージです。

IBM iは2006年のV5R4以降、約7年間のサポート期間(プログラムサービス提供期間)が設定されています。そしてサポート終了後も使い続けたいというユーザーには、約3年間の有償延長保守サービスが設けられています。つまり、IBM iは約10年間、通常利用できるOSということになります。

IBM iのメジャー・バージョンのリリース時期とサポート期間、有償延長保守サービスの期間

IBM i 7.1は今年4月30日に有償延長保守サービスが終了となりました。また、IBM i 7.2は同じ4月30日にプログラムサービスが終了となり、有償延長保守サービス期間に入りました。ただしIBM i 7.1は、IBM Cloudの「IBM Power Systems Virtual Server」で提供がスタートしています。IBM 7.1を使い続ける必要があるユーザー向けにクラウド上で環境を提供した形です。

IBM iのOSのライフサイクルでもう1つのポイントは、常に2つ先のメジャーOSに直接アップグレードできることです。つまりIBM i 7.2ならIBM i 7.3への移行はもちろんのこと、 IBM i 7.4へ直接アップグレード可能です。このような「リリース飛ばし」を理解しておくと、Power SystemsやOSの利用計画を立てる際に有効です。

IBMからは、IBM iのロードマップが定期的に更新されています。また、テクノロジー・リフレッシュも、メジャー・バージョンの谷間のリリースとは言え、毎回重要な機能がアナウンスされますので、ご注意いただければと思います。新しいテクノロジー・リフレッシュへは無償でアップグレード可能です。

 

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