IBM i RiSINGは、若手IBM i担当者のための「研鑽」と「ネットワーキング」のステージ! ~今年のIBM i RiSINGに参加して

当社では若手IBM i技術者のスキルアップ/パワーアップに力を入れています。

2025年にはその一環として、日本IBM様が主催する、IBM i若手技術者コミュニティ「IBM i RiSING」に2名が参加しました。

IBM i RiSINGとは、IBM iを利用中のユーザー企業様とパートナー企業様の若手技術者が参加し、約8カ月間のグループワークを通して技術力の向上と参加者同士のネットワーキングを醸成する場。

その2025年の活動で、当社の2名の参加者はどのような活動を行い、成果を得たのか。IBM i技術者の育成に取り組んでいる皆様に、1つでも参考になる情報があれば幸いです。

当社から参加したのは、入社3年目のK・Kと今年3月に入社したH・Wの2名です。

 

 

K・K

ソリューション開発部

 

-- K・Kさんは、前職はITとは関係のない仕事だったのですね。

K・K 配送関係の仕事に就いていました。そこで5年ほどを経験した頃に、さらに将来性のある業種で仕事をしてみたいと思い、当社への転職を決めました。

-- 現在の仕事はどのような内容ですか

K・K ソリューション開発部に所属し、製造業のお客様の販売管理システムの保守・改修を担当しています。IBM iとRPGは入社してから習得しました。現在では一通りはこなせるようになっていますが、IBM iは奥が深いのでいろいろ学んでいきたいと思っていました。そこへIBM i RiSINGの話をいただきました。

-- H・Wさんの前職はプログラマーでしたね。

H・W 正確には、プログラマーと当社への入社の間に短期間、小売店で販売の仕事をしていました。プログラマー時代はSIerに所属し、建設業のお客様のシステムの保守・改修を担当していました。JavaやVB.NETが中心のシステムで、IBM iとRPGは当社に入社してからの習得です。先輩の方々に手取り足取り教えていただきました。

-- 当社では営業・マーケティングの仕事を志望して応募したのでしたね。

H・W はい。人と接するのが好きなので、お客様と技術陣の間に立ってテクニカル・セールス的な仕事をしたいという希望がありました。そして入社してすぐに日本IBM様のリスキングカレッジに参加するチャンスをいただき、そこで講師を務めていた日本IBMの古閑(さくら)さんからIBM i RiSINGというコミュニティがあり営業系の人も参加可能という話をうかがって、上司に相談をして2次募集のタイミングで参加しました。

-- K・Kさんのチームの研究テーマは何ですか。

K・K 「生成AIでRPGLE初級者のコーディングをサポートできるか検証!!」というテーマでした。メンバーは6人でしたが、ほとんどの人がRPGLEの経験がなく、かつ、生成AIには関心はあるけれどRPGLEの開発支援に何を使ったらよいかわからないという人ばかりだったので、話し合いの結果、このテーマに行き着きました。

-- どのように研究を進めたのですか。

K・K 下の図表のように、環境の構築から始めて、計画、設計、開発、テストへと進めました。「取引マスターの保守に必要なプログラムの開発」を目標とし、それに必要なプログラムをメンバーで分担して開発し、その過程で生成AIツールを利用して実力を検証することにしました。私が担当したのは、登録/更新/削除処理(トランザクション)です。

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

-- ツールはChatGPTとMicrosoft Copilotを採用したのですね。

K・K はい。それをメインツールとして、PerplexityとGenSparkはサブ的に利用することにしました。そして、生成AIが間違った回答を返してきた時のルールをあらかじめ決めておきました。桁ずれのような軽微な間違いは手による修正も可能としました。

-- 実際にやってみて、どうでしたか。

K・K まとめとしては、次の4点になりました。

・よくも悪くも0(ゼロ)からコーディングしてくれる
・桁ずれや構文エラーなど修正は手直しが前提
・エラーコードであることをプロンプトで指摘すると、有用な回答になることが多く見られた
・生成AIは文法的に正しいことが多いが、動的制御構造が考慮されていない(たとえば、サブファイルの相対レコード番号)

また、目標としていた次のことは実施できませんでした。

・最終目標としていた結合テスト
・設計した画面の画像を生成AIに入力し、DSPFが生成できるか否かの検証
・設問の詳細度(粒度)を変えた場合の生成結果の比較

-- いろいろな知見を得たのですね。K・Kさんの感想は?

K・K 初級者の開発支援に役立つかという点では、私自身は難しいのではないかという感想をもちました。というのは、生成AIツールに質問を投げて帰って来た回答の真偽を判定するのは、初級者には少しハードルが高いと思いました。これについては、生成AIツールの回答の精度が飛躍的に向上すれば、また別の感想をもつのだろうと思います。現状では、回答の真偽を判定し、かつ間違っている場合はサポートしてくれる手段が何か必要だろうと思います。

 

 H・W

ソリューション営業部

 

-- H・Wさんのチームの研究テーマは何でしたか。

H・W 2次募集からの参加だったため、私が参加した時点で既に主となる研究テーマが決定していました。それが「VS Codeを使ったFFRPGの開発」です。メンバーの半数はすでにVS Codeを経験済みでしたので、チュートリアル的な内容よりは、より実践的な開発について研究しようとなりました。


-- 具体的にはどのようなことを研究したのですか。

H・W 3つあって、1つ目は「VS CodeでのFFRPGのコンバート」、2つ目は「VS CodeでのFFRPGのデバッグ」、3つ目は「VS CodeとDB2 for IBM iによるFFRPG開発の効率化」です。これらの小テーマについて、最終成果物としてQiitaに記事を書くことにしました。

-- やってみてどうでしたか。

H・W まず、それぞれの小テーマで疑問がいろいろ出てきて、それの解決が最初でした。

たとえば、VS CodeとIBM iの接続はどうやるのか、デバッグできるプログラムはバッチなのか対話型なのか、IBM iとCode for IBM iとIBM i debuggerのバージョンが合わない時はどう対処法するのか、SQLはVS Codeでどのように使うのか、など。それらの疑問を解決していくことで、テーマである「VS Codeを使ったFFRPGの開発」についてさまざまなことを学べたと考えています。

-- チームではどのように総括しましたか。

H・W 小テーマごとに感想をまとめました。「FFRPGのコンバート」については、

・メンバー各自が作業したので、それぞれの意見を集められた
・トラブルに直面した際はメンバーの知見を集めることで解決でき、その経緯を記事にできた
・VS Codeというモダンな開発環境でFFRPGを使用できた

「FFRPGのデバッグ」については、

・環境構築から行ったので実際に起きたトラブルについて見通しをもつことができ、その解決方法とあわせて記事にできた
・想定通りに動作しないプログラムをデバックすることでバグを発見でき、デバックのイメージを掴むことができた

それとデバッグについては、5250、RDi、VS Codeを比較し、次のような感想が上がりました。

・5250は、コマンドを覚えるまでが少し大変
・RDiは、機能は充実しているが、操作が少し難しい
・VS Codeは、開発経験が少なくても馴染みやすい

-- 3つ目の「VS Codeを使ったFFRPGの開発」についてはどうでしたか。

H・W チームで次の4つの感想をまとめました。

・VS CodeでSQLを使う開発効率化について調査したが、1テーマでも様々な視点から調査を実施できた
・1からの作成だと大変な作業も、EXAMPLESを使うことで作業時間を短縮し使うことができた
・実際どうやって使うと実務に役立つのか、権限で使えない項目があるのかなど動かすことで学べたことが多かった
・VS Codeを使ってのRPG 開発、データ取得がより便利に実施できると分かり、実際の業務でも役立てたくなった

-- それぞれの小テーマで成果があり、知見を得られたということですね。H・Wさんは、IBM i RiSINGに参加してどのような感想をもちましたか。

H・W 私はIBM iの開発経験がまったくない状態で参加したのですが、メンバーの人たちと一緒に取り組むことで、VS CodeとIBM iについて知識を深めることができ、とてもよい経験ができたと思っています。

それと、会社以外の同世代の皆さんと触れ合うことで、若い世代の元気なIBM iエンジニアがたくさんいることも実感できましたし、交流したりコミュニティ的なつながりをもつことの大切さも感じました。

-- K・Kさんは、IBM i RiSINGに参加してどのような感想をもちましたか。 

K・K 個人的なことですが、会社の実業務の間を縫ってチームの活動に参加するのがとても大変だったということが、まず最初に浮かびます。「生成AIでRPGLE初級者のコーディングをサポートできるか」という当初の目標に関しては期待は実らずでしたが、生成AIについてより深い知見を得られたことと、生成AIを使って何かができる、という感触をつかめたのは大きかったと思います。また同世代のエンジニアと知り合いになることができ、考え方や感じ方を実感できたのも、とてもよい経験になったと思っています。

-- IBM i RiSINGにまた参加したいですか。

K・K 実業務の調整がつけば参加して、何かのテーマに取り組みたいですね。 

-- H・Wさんはどうですか。

H・W 私も同じです。チャンスがあったら再度参加したく思います。また、社外の方たちとこれからの積極的に関わっていきたいと思うようになりました。

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