伊藤忠丸紅住商テクノスチール株式会社 ~地方拠点だけで61台から32台へプリンタ削減。帳票印刷基盤を刷新

COMPANY PROFILE

本社 :東京都千代田区
設立 :1963年
資本金:30億円
売上高:3808億円(2019年3月)
従業員:400名(2019年3月)
事業内容:ゼネコン・加工業者・鋼材特約店・建材製品メーカーへの土木・建築用の鋼材および建設資材の提供
https://www.imsts.co.jp/

キヤノン製プリンタへの出力、出力トレイの管理で集約化を実現

伊藤忠丸紅テクノスチール(現・伊藤忠丸紅住商テクノスチール株式会社、2016年1月設立。内容はi Magazine掲載時のものです)は、ゼネコン・加工業者・鋼材特約店・建材製品メーカーへ土木・建築用の鋼材および建設資材を提供する商社である。最近では、東京・六本木の新しいランドマークである東京ミッドタウンの高層ビル用鉄骨や、羽田空港D滑走路の埋め立てに使用した土木用建設資材の取り扱いで知られる。また現在は、東日本大震災の復興へ向けた土木・建築用資材の供給にも、社内に特別チームを設けて取り組み中である。

同社の営業拠点は、札幌から鹿児島まで全国に14カ所。そこで計8機種・95台のさまざまなプリンタ・複合機を使い、月に約12万枚の帳票・伝票類を印刷してきた。プリンタの種類は、モノクロレーザー、カラーレーザー、モノクロ複合機、カラー複合機、ラインプリンタ、ドットプリンタ、プロダクションプリンタ2機種という内訳である。

そうした機種から成る帳票出力基盤の抜本的な見直しに乗り出したのは、2012年初めのことだった。従来、主力で利用してきた6台のプロダクションプリンタが2013年末にメーカーのサポートも打ち切りになることが通告されたからである。同社はすぐにメーカーに対し代替案を求めたが、その回答を発端に見直しが始まるのである。情報システム部の野村政文部長は、次のように説明する。

「メーカーから提示された代替案は後継機の導入で、新たにプリントサーバーの導入も加えられていました。金額は、後継機の購入費だけで数千万円。5年間の保守費用を加えるとさらに1000万円が上乗せになる見積もりで、現状の費用を大きく上回る額でした。当社のプロダクションプリンタは月末・月初の集中的な利用が中心で、毎日大量に印刷するわけではありません。そこで、メーカー案を採用するのはもったいないという意見が出て、ほかの案を探すことになりました」

野村 政文氏
情報システム部長
帳票印刷基盤の刷新

同社は2001年からIBM i上で、営業系システムと会計システムを利用してきた。IBM iから各プリンタへの出力で用いてきたのは、SCS(SNA character string)データをASCII形式に変換するIBM iのHPT(Host Print Transform)機能である。HPTには高性能なオーバーレイ機能がないため、アプリケーションから出力する帳票ごとにプリンタを違える形態で運用してきた。

その結果、「1つの部課に、モノクロレーザー、カラーレーザー、複合機、ラインプリンタの4機種が配置されていることもめずらしくなく、拠点によっては社員数とほぼ同じ数のプリンタがある状況で、この面からも帳票出力基盤の再整備が必要になっていました」と情報システム部長代行(情報システム課長も兼任)の青松政一郎氏は語る。

青松 政一郎氏
情報システム部長代行
兼 情報システム課長

さらにもう1つ、同社の印刷基盤の特徴は、カラー/モノクロのレーザープリンタと複合機をすべてキヤノン製品で統一してきたことである。その数は、全93台中67台。「キヤノン製品を主軸に、帳票出力基盤を再構築できないか」(野村部長)という思いが同社にあった。

IBM iとキヤノン製プリンタの
両方につながるソリューション

そうこうするうちに、親会社の伊藤忠丸紅鉄鋼から「IBM iなら、アイエステクノポートのUT/400を使うと帳票出力をうまくハンドリングできる」というアドバイスがあった。伊藤忠丸紅鉄鋼がIBM i上でUT/400を使用中で、成果を出していたからである。また、キヤノンジャパンの担当者からは「IBM iとキヤノン製プリンタをつなぐUT/400 ダイレクト印刷オプション for CANONがある」との情報がもたらされた。

UT/400 ダイレクト印刷オプション for CANONは、UT/400-iPDCのオプションツールで、IBM iのスプールデータからPDF帳票を生成し、キヤノン製のレーザープリンタや複合機へダイレクトに出力できる。IBM i上に搭載するので、中間サーバーが不要だ。また、出力時に両面印刷・トレイ指定・ステープル・パンチ・セキュリティ印刷など、プリンタが備える標準機能・オプション機能を5250上で一元管理でき、さらに帳票を宛先ごとに仕分けしてFAXやメールで自動配信することも可能である。

これを使用すると、直近のテーマであるプロダクションプリンタの代替ソリューションとしてだけでなく、ラインプリンタやドットプリンタの「次」への対策にもなり得る。ラインプリンタでは、4枚複写などのプレプリント用紙を使用してきたので、その印刷コストと総務部が用紙を保管・補充・地方発送する運用コストがかかっていた。UT/400-iPDCを導入すればA4判カット紙などへの出力が可能だ。さらに、さまざまなプリンタ機種を、1台のキヤノン製プリンタ(複合機)へ集約することも想定できる。

さっそく見積もりを取ると、「プロダクションプリンタの新規導入と比べて、6割ほどの費用で済むことがわかった」と野村氏は振り返る。すぐに、全プリンタを対象として集約化を前提に検討を開始し、導入を決定。新しい帳票印刷基盤のプリンタは、カラー複合機のimageRUNNER ADVANCE C5235F(FAX付)とモノクロ複合機のimageRUNNER ADVANCE 4045の2機種とし、2012年11月からソフトウェアの開発に入り、2013年6月に地方拠点から切り替え作業をスタートさせた。

混乱と間違いを防ぐため
帳票ごとに出力トレイを定義

導入とプリンタの切り替えに際して検討したのは、1つの部課に複数台あったプリンタを、切り替え後は1台で複数の帳票を出力したり、場合によっては複数の部課で共有することになるので、「いかに混乱なく、効率よく利用できるようにするか」(青松氏)であった。

その解決策は、アプリケーションに手を入れて、1枚目の出力にセパレーター紙を噛ませて区切りをつけることと、位置をずらしてトレイ出力できるシフト印刷機能の活用である。

しかし実際は、「それだけでは、各拠点のニーズをすべて解決できなかった」と青松氏は言う。拠点ごとにオフィスのレイアウトや人の動線が違っていたのと、帳票出力するトレイの割り振りに対するニーズが部課ごとにまちまちであったからである。「WordやPower Pointなどの一般的な出力は、トレイ①に固定し、帳票類の出力トレイは各拠点の要望を聞いて対応するようにした」(青松氏)という(図表1)。

東京以外の13ある地方拠点は、2014年3月までに切り替えを終えた。結果は、61台あったプリンタが32台となった。29台の削減である(図表2)。

この段階で「月に約40万円のコスト削減効果がある」と野村氏。機種にかかる保守料も台数減により減るので、「さらにコスト削減効果が見込める」という。

本社を置く東京は、5月の連休明けから切り替えに着手した。「目標は、現行の33台を半減させること」と野村氏は語る。

「お客様や取引先から当社に求められているのは、受注・発注の正確性と迅速性です。そのためには帳票のハンドリングをスピーディに的確に行うことが必要で、今回のUT/400 ダイレクト印刷オプション for CANONによる基盤改革は、お客様や取引先からのご要望にさらに一歩近づくものと評価しています。今後は、業界で進みつつある電子的取引を視野に入れ、UT/400-iPDCのさらなる活用を検討していく予定です」(野村氏)

低コストの代替ソリューションを求めるところから始まった取り組みが、そのキーとして導入したツールの機能により、より広がりが出てきたと言えそうである。

[i Magazine 2014年5月号掲載]*記事の内容は取材時のものです。

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