ポーラ化成工業 株式会社~「モノづくりの進化」を背景にUT/400-iPDCで帳票基盤を整備

COMPANY PROFILE

ポーラ化成工業株式会社

本社 :神奈川県横浜市
設立 :1940(昭和15)年
資本金:16億円
従業員数:1032名(2013年12月)
事業内容:化粧品の開発・生産
http://www.pola-rm.co.jp/

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス

本社  :東京都中央区
設立  :2006年
資本金 :8100億円
グループ売上高:1980億9400万円(2014年12月)
従業員数:76名(2014年12月)
http://www.po-holdings.co.jp/

「コスト競争力の強化」と
「モノづくりの進化」の中で

大阪へ向かう東海道新幹線が静岡県の掛川駅を過ぎると、左に「POLA」の青い文字と白く細長いスマートな建屋が目に飛び込んでくる。それが今回レポートするポーラ化成工業の袋井工場である。

ポーラ化成工業は、化粧品を中心に「美と健康」に関わる事業を幅広く展開するポーラ・オルビスグループの研究開発と生産を担う会社。そのポーラ・オルビスグループでは現在、「2020年のグループ売上高2500億円、海外比率20%」を目指して計画を推進中である(2014年末現在の売上高は約1980億円、海外比率13%)。

研究開発については、グループの強みである「エイジングケア」と「ホワイトニングケア」を重点領域として、資源の集中化に取り組んでいる。その成果は、IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)の世界大会においても実証され、昨年のパリ大会では栄誉ある最優秀賞(口頭発表基礎部門)を受賞した。受賞はこれで最優秀賞5回を含め計7回になる。

一方、生産のほうは、「コスト競争力の強化」と「モノづくりの進化」へ向けてまい進中である。その取り組みを情報システム分野で見ると、2010年に、長年使用してきたメインフレームをIBM iへダウンサイジングし、同時に、メインフレーム上で稼働させてきた自社開発の生産管理システムを、インフォアジャパンの統合ERPパッケージ「Infor LX」へ切り替えている。

「従来の生産管理システムは、サブシステムごとに個別最適を追求したものであったため、管理が煩雑になっていました。それを全面的に見直し、システム全体を統合的かつ効率的に管理できる全体最適な仕組みを検討した結果、Infor LXを選定しました」と、情報システム室の鈴木由紀子氏はパッケージ選定の理由を述べる。

鈴木 由紀子氏
情報システム室

2011年には、化粧品製剤の生産から充填、包装までを一貫処理する最新装置を導入したのを受けて、その新しい運用に合うシステムへの変更を行った。また2014年には、旧・静岡工場の袋井工場への統合に伴う情報システムの改修も行っている。

帳票システムの再検討で
重視した3つの項目

生産管理システムからの帳票印刷は、従来、メインフレームにつながるホストプリンタと連帳プリンタで行ってきた。それらをInfor LXの導入時に廃止し、富士ゼロックスのモノクロ・カット紙プリンタ「DocuPrint 340A」を約50台採用している。  

「元々、事務用に富士ゼロックスの複合機を使っていたので、運用管理面を考慮して、プリンタも同じメーカーに揃えたいという意向がありました」と鈴木氏。

Infor LXからの出力は当初、プリンタとの間にプリントサーバー(PCサーバー)を置く構成で行っていた。しかし、Infor LX搭載のIBM iが遠隔地(県外のデータセンター)にあり、プリンタのほうは工場に配置されていたため、「印刷ジョブがうまく転送されず、プリントできないトラブルが少なくない頻度で発生していました。中には、業務に影響を及ぼすこともありました」と鈴木氏は振り返る。

また工場側で計画的な停電を行い、その後にプリンタを起動すると、プリントサーバーとの間で印刷セッションが確立されないなどの障害も起きていた。

そこで、帳票システムをあらためて検討し直すこととした(2012年)。重視したのは、生産管理システムから各部署に直接帳票を配布できる、そのために帳票ごとに細かい設定ができる、IBM i対応で実績がある、の3点である。

複数のツールを比較検討した結果、連携モジュール(UT/400ダイレクト印刷オプション for XEROX)を介して、IBM iから直接、DocuPrintや複合機へ出力できる「UT/400-iPDC」を最終的に選択した。

「IBM iに搭載でき、プリントサーバーを別途立てる必要がないという、障害リスクの低減とコスト面の優位性も、UT/400-iPDC採用の大きな理由となりました」と鈴木氏は付け加える。

帳票関連ではその後、JFEシステムズの電子帳票ツール「FileVolante」を導入している。これもUT/400-iPDCと連携し、PDF化した帳票を保管・管理でき、検索・閲覧機能が優れたツールである。

袋井工場では、業務および現場の担当者約50名が常時、過去の帳票を閲覧するが、従来はPDF化した帳票をIFS内に蓄積するだけで「ユーザーが利用しやすい形になっていなかった」(鈴木氏)

そこを改善し、担当者らの作業を効率化する目的で導入したのが、FileVolanteである。またUT/400環境では、スプールデータをCSV変換してメール添付で配信できる「UT/400-SDP」も採用している。

鈴木氏は、「これまでの取り組みで、帳票関連の基盤はおおよそ整備できたのではないかと考えています」と総括する。

システム側から効率的な
生産を支援する

同工場では現在、「コスト競争力の強化」と「モノづくりの進化」へ向けて、新たな施策を準備中である。

情報システム室で主としてインフラ面を担当する坂野伸治氏は、「システムとして手を入れる部分はまだまだあります。今後、工場内の無線LAN化など、システム側から効率的な生産を支援する環境整備の取り組みを、さらに強化していきたいと考えています」と抱負を語る。

坂野 伸治氏
情報システム室

ポーラ化成工業では生産管理システムと帳票基盤の整備を終え、次の大きな挑戦に向かっている。

[i Magazine 2015 5月号(2015年5月)掲載]

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