COMPANY PROFILE
設立 :1968年
本社 :千葉県八千代市
資本金:9500万円
従業員数:330名
事業内容:臨床検査、食品衛生検査、衛生点検器具など
http://www.san-g.com/
請求書関連の業務改革に取り組む
サンリツは、千葉県を中心に関東エリアの医療機関から依頼される各種の臨床検査を基幹事業としている。千葉県八千代市の本社に併設する検査所を中核に、関東エリアに6カ所の衛生検査所を擁し、約2000の医療機関から日々依頼される臨床検査を実施する。
最近では、食の安全や衛生管理への意識の高まりに対応し、食品検査や施設の衛生点検、感染対策、飲料水の検査など、環境衛生にかかわる事業分野にも拡大している。いずれの場合も、最新技術で得られる検査結果を正確かつ迅速に提供することが事業の生命線である。
同社はシステム/38からのユーザーで、現在はSystem i(9406-520)を利用して、臨床検査・細菌検査の各システム、売掛・請求管理、簡易検査キットや検査容器など物品に関する販売管理システムを運用。検査報告書や請求書など、毎日大量の帳票を印刷するため、本社および各営業所に30台近いラインプリンタを導入している。
例えば請求書では請求総額を示した「請求書」に、患者別の内訳を示した「請求明細書」、検査項目ごとに分類した「項目別内訳書」、物品販売に関する「器材・伝票請求明細書」の4種類をセットし送付する。合計すると請求関連だけで毎月6万枚の帳票を印刷するため、本社総務部に導入した2台のラインプリンタはフル稼働状態であった。こうした一連の請求業務については、以前から業務改善の必要性が指摘されていた。
「印刷量が膨大な上、4種類の帳票を仕分けし、さらに客先ごとの締め日や親・子コードに沿って合算する複雑な業務も要求されます。処理が集中する月初には他部門から10人ほど総務部へ応援部隊をお願いし、2日がかりで請求書を発送していました」と、総務部の甲斐信夫次長は振り返る。
甲斐信夫氏
総務部 次長
そこでラインプリンタからオフィス複合機へ出力を移行することで、事前印刷用紙を廃止し、カット紙での印刷を可能にする。同時に印刷フォームの変更や両面印刷、合算処理や仕分けの自動化で、大幅な業務改善を図る案が浮上した。
2009年頃から検討を本格化。システム部、総務部、業務部、営業部で構成される「請求書改善ワーキンググループ」を立ち上げ、帳票デザインの美化や帳票枚数の削減を含む業務プロセスの効率化の検討がスタートしたのである。
月間6万枚の出力が2万枚に
144時間の作業が33時間に
同社が移行の手法として着目したのは、緊急性のある検査報告書を自動でFax送信するために、以前から導入していた「UT/400-iPDC」(アイエステクノポート)である。
IBM iのスプールデータからPDFを生成する同製品には、富士ゼロックスのオフィス複合機へダイレクト印刷するためのオプションとして、「UT/400ダイレクト印刷オプション for Fuji Xerox Devices」が提供されている。これを使用すれば、IBM iから大量の請求書を富士ゼロックスのオフィス複合機へ、ダイレクトに印刷可能になる。
システム部では、ワーキンググループで検討してきた業務改善案を反映すべく、UT/400-iPDC にアドオンの帳票設計ツールである「FINE OVL iPDC版」(コベルコシステム)を使って、帳票デザインを変更した。
「トップページの請求書だけはカラーで印字し、ロゴや印影を印刷したり、明細項目の印字行数を増やすなど改善したほか、『UT/400-SPL』で自動仕分け・合算処理を実行しています」と語るのは、システム部顧客システム開発グループの久永千晴氏である。
久永千晴氏
システム部
以前から富士ゼロックスのオフィス複合機は10台近くを導入していたが、今回の請求書印刷のために、自動でパンチ穴を空けたり、ホチキスどめに対応できる「ApeosC7600」を2台導入。数カ月に渡るテスト期間を経て、2010年12月から請求書の印刷をラインプリンタからオフィス複合機へ移行したのである。
この移行により、月間6万枚出力の帳票は約3分の1の2万枚に削減された。毎月144時間を要していた請求関連業務は33時間へと約4分の1に短縮。このうち印刷時間は3分の1に、製本時間に至っては人手の作業は皆無に。合算や仕分け処理に伴う人的ミスも完全に解消されている。
同社ではこれにより、請求書発行用に2台導入していたラインプリンタの1台を撤去した(もう1台は別業務で利用するため継続)。移行前の印刷関連コスト、すなわちラインプリンタの保守料、事前印刷用紙およびサプライ品の費用に対して、移行後のカット紙の用紙代、オフィス複合機のカウンター料金、A4型の送付用封筒代を比較したところ、移行後は運用コストを約5%削減できたという。
この業務改善効果は社内で高く評価され、請求書改善ワーキンググループは2011年6月に社長表彰を授与されることになったという。
「本社や営業所で出力している20種類の検査報告書のうち、すでに一部の出力がApeosC7600とUT/400-iPDCの環境へ移行しています。今後は他の帳票を含め、段階的に複合機での出力を拡大していきたいと考えています」(システム部 植原昌広部長)
植原昌広氏
システム部 部長
[i Magazine 2012年5月号掲載]*記事の内容は掲載当時のものです。