株式会社ジーコス ~SS/TOOL-ADVを使いプログラム資産を棚卸し、S/D Managerとの連携で効率的な管理

COMPANY PROFILE

本社  :東京都港区
設立  :1994年
資本金:1000万円
事業内容:食肉業界向けを中心としたシステム・コンサルテーション、開発、運用保守、パッケージの開発・販売、オペレーションなど
https://www.starzen.co.jp/itsolutions/(現・スターゼンITソリューションズ株式会社)

IBM i上で稼働するツールを探す

食肉卸売業スターゼンの情報子会社で、パッケージ事業など幅広い事業を展開するジーコスでは、基幹システムの見直しを進めてきた。理由は、「現行システムが初期導入から約30年ほど経過し、レガシー部分の見直しが必要になった」(齊藤英明 システム部長)からである。また、さまざまな機能を積み重ねてきたためにシステムが複雑になり、運用面での非効率さやリソースの無駄な消費もふくらんでいた。

見直しは、他システムへの移行と現行システムのスリム化の2方向で検討が進められた。その結果、スリム化と新たな機能の追加でいくことに決定したが、そのためにはまず、システム資産の棚卸しが必要である。

同社は、親会社スターゼンのほかに、スターゼン販売会社・グループ約20社と外部企業の基幹システムの構築・運用を担当している。

同社では従来、PCベースのプログラム解析/仕様書作成ツールを利用してきた。しかしそのツールを今回の棚卸しに利用すると、IBM iからPCへのプログラム転送だけで膨大な時間がかかり「現実的ではない」(齊藤氏)と判断された。

そこで当初はツールを使わず、4名の専任をあて、調査に3カ月、修正に6〜7カ月を見込んで作業にかかることを考えた。その一方で、「DBから直接オブジェクトを追えたり、その逆もできるIBM i対応のツールはないか」とツール探しにも動いていた。

齊藤英明 氏
システム部長

棚卸し期間を半分に短縮

同社では2007年から、アイエステクノポートのプロジェクト管理ツール「S/D Manager」を利用し、プログラムの変更管理や配布管理を行ってきた。J-SOXへの対応が導入のきっかけである。

「当社では数多くの会社のシステムを担当している関係上、月平均80件程度の変更が発生しています。J-SOX施行以前は、開発環境と本番環境を明確に分けるやり方をしていませんでしたが、S/D Managerの導入後、プログラムの変更管理や導入管理が確実に行えるようになり、監査から有効の評価を受けてきました。また、S/D Managerのログ情報を使って顧客への変更履歴レポートなどが簡単に出せるようになりました。S/D Managerによって作業の大幅な効率化が実現しています」と齊藤氏は高く評価する。

信頼を置くそのアイエステクノポートが、「SS/TOOL-ADV」というアプリケーション構成管理と仕様書作成を行うツールを提供していることを知り、検討を始めてすぐに導入を決めた。採用の理由を齊藤氏は、次のように語る。

「何よりもソースを開発テスト用のIBM i上に置いたまま作業が行えるので効率がよく、また、S/D Managerと連携させると、さらに作業効率が上がるのも魅力でした」

2010年6月に導入し、さっそくプログラムの棚卸しにかかった。最初の効果は、ダイレクトに解析が行えるので、当初3カ月としていた調査が不要になったことである。そして、当初4名としていた要員も、1名をSS/TOOL-ADVの操作、1名をプログラムの削除・修正に当てることにより、半分の人数で済ませることができた。

棚卸しの進め方は、S/D Managerによってプログラムの最終使用日が分かるので、基準日として設定した日以降の未使用プログラムを特定。次に、SS/TOOL-ADVによりそのプログラムの親子関係を洗い出してドキュメント化し、それに基づいてプログラムの削除・修正を行うというやり方である。修正は、プログラムの削除によって不要になる呼び出し元の実行部分の削除や、ロジックの変更など。

この方法によって、プログラム資産の約1/3を5カ月で棚卸しでき、短期間でスリム化を実現した。 

「当初想定した半分の期間で棚卸しが完了し、驚きました。S/D ManagerとSS/TOOL-ADVは棚卸しツールとして完璧で、非常に効率のいい作業が行えました」と齊藤氏は感想を述べる。

変更・修正前の洗い出しツール 

SS/TOOL-ADVは現在、開発者が作業前に、変更・修正するプログラムを洗い出すためのツールとして使用している。そして開発者は、次のような環境で作業を進めている。

まず、開発テスト機上に「プレ本番」環境を構成する。これにはデータは含まれないが、ソースもオブジェクトも本番環境と同じである。

プログラムの変更・修正を行う時は、SS/TOOL-ADVを使って開発テスト機上の「プレ本番」環境で対象となるプログラムを洗い出し、S/D Managerにより開発環境にチェックアウトを行う。そして、プログラムの変更・修正・テストを実施する。そのテストに問題なければ本番登録へ進み、OKであれば配布登録を実施する。

このチェックアウト以降の変更管理や配布管理がS/D Managerによる処理であるが、変更メンバーの洗い出しから配布登録まで一貫した処理が行えている。これがSS/TOOL-ADVとS/D Manager の連携である。

齊藤氏は、「現在、3カ年のシステム中期計画の1つとして、販売系システムに分析機能を加える拡張と、タブレットを使用する新しい営業支援システムの検討を進めています。これも、SS/TOOL-ADVによって、システムの基盤となるソフトウェア資産の整理を効率よく行えたからこそと考えています」と語る。

[i Magazine 2012年11月号掲載]*記事の内容は掲載当時のものです。

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