シンプルに運用できる基幹帳票の押印レスツールとして「帳票ワークフロー」の開発に着手

金澤 廣志

株式会社アイエステクノポート
代表取締役社長

シンプルな申請承認ワークフロー機能を備えた
基幹帳票のハンコレスツール

―― 新製品「帳票ワークフロー」を開発した背景から教えてください。どのようなユーザーニーズから生まれてきたソリューションなのですか。

金澤 新型コロナの拡大によりテレワークが浸透するようになると、日本特有のハンコ文化の問題点が指摘されるようになりました。在宅勤務がメインのテレワークを進めるなか、ハンコを押すためだけに出社したり、書類をプリントアウトして押印し、それを画像ファイルとしてスキャンして相手に送信するといった、とても非効率な作業がテレワークの障害になっていました。

またデータの授受には、画像データの改ざんや情報漏洩のリスクを伴うという問題も指摘されます。行政手続きのハンコレス改革をめぐる議論が活発化したこともあり、当社のユーザー様からも、なんとかハンコレス・押印レスに対応できないかという要望が寄せられるようになりました。

当社の提供する「UT/400-iPDC」では、IBM iのスプールファイルからPDFを生成しますが、そこではPDFファイルに印影の画像データを組み込むことができます。このように電子的に押印できるのであれば、そこにワークフロー機能を搭載することで、ハンコレスのニーズに対応できるのではないかと発想し、「帳票ワークフロー」の開発に着手しました。2021年夏ごろのことです。

―― 「帳票ワークフロー」は、どのような帳票のハンコレスとワークフローを対象にしているのですか。

金澤 押印を必要とする社外向けの帳票を対象にしています。たとえば見積書、請求書、注文書などの基幹帳票は意外に帳票数が多く、申請承認作業が伴います。先ほどお話ししたように、「帳票ワークフロー」はあくまでハンコレスを狙いにしており、言ってみれば「シンプルな承認ワークフロー機能を備えたハンコレスツール」として開発しました。

できるだけシンプルに運用できることが重要で、アプリケーション改修も最小限に、ほんのわずかなプログラム改修作業だけで済むようにしています。

複数人の承認者を設定し、その中の1人だけで承認を完了できる「並列承認」や、複数の承認者が順番どおりに承認して完了できる「階層承認」など、多様な承認ワークフロー機能を備えています。また申請者・承認者へメールで自動的に通知する機能もサポートしました。

ただし簡単に運用できることが最も重要だと考え、機能や操作性をできるだけシンプルに実現しています。そのため当初は、組織構造が複雑で、承認者数の多い大手企業よりも、簡単かつシンプルに承認ワークフローとハンコレスを実現したいと考える中堅中小企業を対象にアプローチしようと考えていました。

しかし、「帳票ワークフロー」のご案内を開始してすぐにお問い合わせをいただいた2社のお客様はどちらも大手企業で、大組織でも「帳票ワークフロー」を十分に使いこなしていただけることがわかりました。それで今は、企業規模に関係なく、シンプルかつ簡単にハンコレスを実現したいとお考えのお客様をターゲットにご案内しています。

IBM iのスプールファイルを熟知した
当社の技術力を開発に活かす

―― 「帳票ワークフロー」は中核エンジンとして、「UT/400-iPDC」を搭載していますね。

金澤 そのとおりです。申請者が帳票を作成し、スプールファイルが生成されると、そこから申請・承認のワークフローが稼働します。承認が終了すると、スプールファイルから「UT/400-iPDC」によって、印影データを組み込んだPDFを生成する仕組みです。

また承認前のデータはスプールファイルとしてそのまま管理されているので、途中でデータ内容を改ざんすることは不可能です。生成されたPDFファイルは暗号化されているので、高いセキュリティ性が担保されます。

―― アイエステクノポートの最大の強みは、IBM iのスプールファイルの仕組みを熟知していることであり、その技術力を「帳票ワークフロー」の開発にも最大限に活かしたわけですね。

金澤 そのとおりです。IBM iでは、独自の業務ニーズに対応した自社開発型のRPGアプリケーションが多数運用されています。「帳票ワークフロー」であればそうしたアプリケーションに組み込んで、簡単にハンコレスを実現していただけます。

ちなみに「帳票ワークフロー」は、「UT/400-iPDC」と承認ワークフロー機能を組み込んだソリューションとしてご提供しますが、すでに「UT/400-iPDC」をご導入済みのユーザー様は、承認ワークフロー機能のみを追加いただくことで実現可能です

―― 「帳票ワークフロー」は基幹帳票を対象に承認ワークフローとハンコレスを実現するわけですが、そのほかのワークフローと共存することは可能ですか。

金澤 もちろん可能です。一般にワークフローとして多く導入されているのは、社内の諸届けや交通費・経費精算といった総務人事系の申請承認ワークフローでしょう。この分野にはすでに数多くのワークフロー製品が販売されており、当社はそこで競合するつもりはありません。

基幹帳票を対象とする「帳票ワークフロー」と、そうした総務人事系を中心とするワークフロー製品は十分に共存が可能ですから、今後は多彩なベンダーやパートナーと連携していく予定です。

「UT/400-iPDC」はIBM iのPDF化に対応し、高い実績を誇っています。スプールファイルのPDF化というニーズに焦点を当ててきたわけですが、「帳票ワークフロー」では、これまでの販売方法とは異なるアプローチが可能になると考えています。

ハンコレスという、今、強く求められる業務ニーズから切り込んで、新しい企業文化、新しいワークスタイルの創造に向けて、「帳票ワークフロー」をお役立ていただけると確信しています。

[iS Technoport]

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